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積層造形

SLS造形品の透明化に関する研究

目的

薄い粉末層を積層し選択的に焼結する作業を繰り返すことにより3次元形状を造形するSLS(Selective Laser Sintering)法は,光造形に対して焼結条件さえ整えばより多くの種類の材料で造形できるなどの特長があり,樹脂のみならず金属やセラミックへも応用されている.しかし一方,造形品が多孔質になる等の問題点があり,これまで透明部品の造形はできなかった.本研究ではSLS造形品に屈折率調整された樹脂を含浸することによって透明にする方法を開発している.

原理・方法

SLSに限らず,粉末を利用したRP手法ではモデルが多孔質になることがほとんどである.部品が多孔質となった場合,たとえ透明な樹脂粉で造形したとしても,透明樹脂とその隙間にある空気の屈折率の差により,樹脂と空気の界面の至るところで光の屈折,散乱が起こってしまうため造形品は透明にならない(図 1a).このような,屈折や散乱が起こらないようにするには,粉体の大きさを光の波長より短くするか,造形品内部の屈折率を何らかの方法で均一する以外にはない.
現在,SLSに商業的に用いられている粉体の代表寸法は小さくても20μm程度であり,可視光波長よりもはるかに大きい.そこで,SLS造形品を透明にする方法として,SLS造形品内部の空孔に硬化後の屈折率が造形材料に等しい液体樹脂を含浸することにより,造形品内部の屈折率を均一にする方法(図 1b)を提案している.

多孔質体を通過する光線
図1 多孔質体を通過する光線

成果と今後の予定

これまでに基礎実験として,SLS用粉末材料として利用されているポリスチレンにメタクリレートを共重合体(MAS)粉末を厚さ5mmに粉末焼結積層造形し,硬化後の屈折率が前述したMASと同一となるようなエポキシ樹脂を調合,含浸,硬化することによって,曇度20 %以下の透明体を得ることができた(図 2).現在,MASよりも耐衝撃性,耐熱性の高い材料による造形,透明化の検討を行っている.

含浸前後の焼結体(左含浸前,右含浸後)
図2 含浸前後の焼結体(左含浸前,右含浸後)



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